きらり☆ことばプラスの出航
1. 視覚障がい者の厳しい就労状況
2023年の厚生労働省の調査*によると、日本国内の障がい者は、約1,165万人。そのうち就労している人は、約61万4千人で全体の約5.2パーセント、その中でも視覚障がい者は全体約27.3万人のうち、就労している人は13,697人で全体の約5.0%に過ぎません。
*令和4年 障がい者雇用状況の集計結果(厚労省サイト)
*令和4年 生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者等実態調査:厚労省サイト)
2. ブラインドメンター※の創案
視覚障がい者の就労したいという切実な思いに応えようと、自らも視覚障がい者である岡田太丞(おかだ たいすけ)は、自身の体験を基に視覚障がい者の “見えない・見えにくい” という「特性」をどうにかして、プラスに転じたいとひたすら考え、言葉による表現・コミュニケーション能力育成の担い手となる役割を創案しました。それが、「ブラインドメンター」という表現・コミュニケーション研修のファシリテーター(導き手)です。
某大手銀行に勤める岡田は、若い頃、海外赴任先で交通事故に遭い、それがもとで両目を失明されました。帰国後、苦難の中でリハビリとトレーニングを続け、約5年かけて復職、その後も職場では悪戦苦闘の日々を送られたそうです。そして、苦労の結果、自分にしかできない業務をつくりあげ、今では一つの部署にまで育てました。
同時に、就労に悩む視覚障がい者の仲間にアドバイスをしたり、障がい者を雇用する企業との相談やマッチングなどの活動を行う視覚障害者就労相談人材バンクを設立し活動を展開しています。
その活動の中で、目の見えないことをどうにかしてプラスに転じたいと何年も考えたそうです。しかし、なかなかそのような仕事は見つからず、年月が過ぎていきました。
そんなある日、岡田はあることに気がつきました。それは、晴眼者である自分の会社の後輩が、日々、業務報告などを行う中で、最初は的を射ていなかった言葉だけによる表現やコミュニケーションが段々上手くなっているということでした。それは、つまり、目が見えない自分に分かるように一生懸命言葉を尽くして説明し続けた成果ではないのかと岡田は考えました。そして、そのことをヒントに、視覚障がい者が晴眼者(目の見える人)の言葉を引き出し、コミュニケーション能力を高める人材として、会社や学校で活躍できるのではないかというアイデアを生み出しました。そして、その役割を「ブラインドメンター」と名付けました。
このアイデアによって、岡田は、ある視覚障がい者を支援する団体のコンテストで大きな賞を受賞*、そのことが契機となり、大阪YMCAと協働でそのアイデアを実現するためのプロジェクトを実施することとなりました。
*isee!"Working Awards" アイデア部門 価値転換賞 受賞
3. きらり☆ことばプラスの出航
大阪YMCAでは、このアイデアを形にし、学校教育や企業研修などに表現・コミュニケーション研修プログラムとして提供するため、岡田を始めとする視覚障がい者のメンバーとそれをサポートする晴眼者が協働し、視覚障がい者が社会で活躍する機会を創出するプロジェクト「きらり☆ことばプラス」を立ち上げました。
※ブラインドメンターとは、表現・コミュニケーションの専門的なトレーニングを受けて登録された視覚障がい者です。ブラインドメンター及びその名称によって提供されるサービスは、創案者の岡田太丞および大阪YMCAにより登録された商標です。
お問い合わせ
きらり☆ことばプラス
06-6441-0894